CASE FILE No.07 ── 退職
退職後14日の壁:国保か任意継続か、年金はどうするか
── 開業届より先に、14日で締まる手続きがある。
- 「退職したら保険証はどうなるの?」
- 「任意継続と国保、どっちが安い?」
- 「年金の手続きは何をすればいい?」
開業の手続きより先に期限が来るのが、退職に伴う社会保険の切り替えでした。 開業日ではなく退職日から数えるのがポイントです。
期限は退職の翌日から14日(国保・年金)/20日(任意継続)。 どちらが安いかは人によるので、両方の見積りを取ってから決める。
健康保険: 選択肢は主に2つ
| 国民健康保険 | 任意継続 | |
|---|---|---|
| どこで | 市区町村の窓口 | 加入していた健保組合・協会けんぽ |
| 期限 | 退職の翌日から14日以内 | 資格喪失日から20日以内 |
| 保険料 | 前年の所得と自治体で決まる | 全額自己負担(在職時の約2倍)。ただし上限あり |
| 期間 | 制限なし | 最長2年 |
| 扶養家族 | 人数分の保険料がかかる | 被扶養者の保険料は増えない |
どちらが安いかは、前年の所得・自治体の保険料率・扶養家族の有無で変わります。 一般論では答えが出ないので、次の2つの数字を並べるのが確実です。
- 市区町村の窓口かWebの試算で、国保の保険料を見積もる
- 会社の健康保険組合(または協会けんぽ)に、任意継続の保険料を聞く
会社都合退職なら: 国保の軽減制度を必ず確認
倒産や解雇など、自分の意思ではない退職(非自発的離職)の場合、国保には前年の給与所得を3割とみなして保険料を計算する軽減制度があります(雇用保険の離職理由コードで判定されます)。 対象なら国保が一気に安くなり、任意継続との比較が逆転することも珍しくありません。
- 窓口で「非自発的失業者の軽減」の対象か聞く(離職票を持っていく)
- 対象条件・手続きは自治体の案内で要確認
自己都合退職でも、所得の急減による減免制度を持つ自治体があります。 見積りを取るときに「軽減・減免の対象になりますか」と一言聞くだけで、判断の材料が揃います。
第3の選択肢: 家族の扶養に入る
配偶者や親が会社の健康保険に入っているなら、その被扶養者になる選択肢があります。 条件(一般に年収130万円未満の見込みなど)を満たせば保険料の負担はゼロです。
ただし開業して所得が出る見込みなら、健保組合ごとに「事業主は扶養に入れない」等の 独自基準があるため、先方の健保組合への確認が必須です。 最初は売上が小さい副業型・小規模の開業では、有力な選択肢になります。
窓口に行く前の持ち物
| 手続き | 持ち物の定番 |
|---|---|
| 国保の加入 | 資格喪失証明書(退職時に会社からもらう)・本人確認書類・マイナンバーが分かるもの |
| 国民年金の切替 | 基礎年金番号が分かるもの・退職日が分かる書類・本人確認書類 |
| 任意継続の申出 | 健保組合指定の申出書(退職前に用紙をもらっておくと速い) |
資格喪失証明書は退職日にもらえるよう先に頼んでおくのが14日期限との戦いのコツです。 会社の発行が遅いと、それだけで14日が過ぎていきます。
国民年金: こちらは一択
厚生年金から国民年金第1号被保険者への種別変更です。 市区町村の窓口で、退職の翌日から14日以内。健康保険(国保にする場合)と同じ窓口で 同時に済ませられます。持ち物は年金手帳(基礎年金番号が分かるもの)・退職日が分かる書類・本人確認書類が定番です。
開業手続きとの順番
退職→開業の時系列だと、期限は「社会保険(14日/20日)→ 開業届(1か月) → 青色申告(2か月)」の順に来ます。 開業コックピットに退職日を入れると、この並びが実際の日付で出ます。
よくある質問
14日を過ぎてしまったら?
国保・年金はさかのぼって加入することになります(保険料もさかのぼって発生します)。手続き自体はできるので、気づいた時点ですぐ窓口へ。
国民年金の保険料が払えないときは?
免除・納付猶予の制度があります。開業初期で所得が読めない場合、未納のまま放置せず免除申請を出すのが正解です(未納は障害年金の受給資格にも響きます)。
失業保険をもらいながら開業準備はできますか?
開業届を出すと基本手当に影響します。再就職手当の記事にまとめました。

