原文解説 ── 令和8年度税制改正特集(国税庁)ほか

2割特例は2026年分で終わり(次は3割特例か、簡易課税か)

── 「2割」の次は、自動では続かない。でも慌てる話でもない。

記録者:開業メモ運営者 ・ 開業届・青色申請 提出済み(2026年8月) ・ 読了 5分

公開 2026年9月4日最終更新 2026年9月14日

  • 「2割特例っていつまで使えるの?」
  • 「終わったら消費税はいくらになる?」
  • 「簡易課税の届出って今年中に出さないとだめ?」

インボイス登録した小規模事業者の消費税を「売上で預かった消費税の2割」に抑えてきた2割特例が、 終わりに近づいています。

個人事業主は2026年(令和8年)分の申告が最後です。

その後にどんな選択肢があるのか、令和8年度税制改正で入った新しい制度も含めて、 国税庁の一次情報(参照日 2026-09-04)で整理しました。

先に結論

個人は2026年分の申告が2割特例のラストチャンス。 ただし改正で個人限定の「3割特例」が2027・2028年分に新設され、届出なしでもう2年つなげる。 簡易課税に移るなら届出が必要だが、特例の翌年の申告期限まで待ってくれる救済措置があるので、 年内に慌てて出す必要はない。

2割特例のおさらい(使えるのは今年の分まで)

2割特例は、免税事業者からインボイス発行事業者になった小規模事業者向けの負担軽減措置です。

納める消費税を「売上で預かった消費税の2割」にでき、事前の届出も要りません。 確定申告のときに申告書へ付記するだけで選べます (出典: 国税庁「2割特例 特設ページ」・参照日 2026-09-04)。

適用できるのは「令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」。

個人事業主の課税期間は暦年(1月〜12月)なので、令和8年9月30日を含む2026年分が最後です。 来年2027年3月の確定申告で使って、終わりになります。

次の選択肢は3つ

2027年分からは、次の3つから選ぶことになります。

計算方法 納める消費税(ざっくり) 届出 使える期間
3割特例(新設・個人限定) 売上で預かった消費税の3割 不要(申告時に付記) 2027年分・2028年分のみ
簡易課税 売上で預かった消費税 ×(1−みなし仕入率) 必要 基準期間の課税売上5,000万円以下の間
本則課税 預かった消費税 − 実際に払った消費税 不要 制限なし

3割特例は令和8年度税制改正でできたばかりの制度で、 法人は対象外・個人事業主だけが使えます (出典: 国税庁「令和8年度税制改正特集」・同参照日)。

法人化を考えている人は、法人になった年からこの特例が使えなくなる点も、法人化はいくらからの記事の損得計算に入れておいてください。

2割特例と同じく届出は要らないので、 何もしなくても「2割が3割に変わって、あと2年続く」と考えると分かりやすいです。

3割特例と簡易課税、どちらが安いかは業種で逆転する

「届出不要なら3割特例でいいや」で済ませる前に、1か所だけ確認してください。

簡易課税のみなし仕入率は業種で違い、 業種によっては簡易課税のほうが安くなります。

事業区分 みなし仕入率 納める消費税は売上税額の
第1種(卸売業) 90% 1割
第2種(小売業など) 80% 2割
第3種(製造業・建設業など) 70% 3割
第4種(飲食店業など) 60% 4割
第5種(サービス業・金融業など) 50% 5割
第6種(不動産業) 40% 6割

出典: 国税庁 タックスアンサーNo.6505「簡易課税制度」(令和7年4月1日現在法令等・同参照日)。

つまりこうなります。

このサイトの読者に多いフリーランスのサービス業は、 2027・2028年分は3割特例を選ぶのが素直な選択になりそうです。

簡易課税の届出は「特例の翌年の申告期限」まで待ってくれる

簡易課税には本来、「使いたい年が始まる前日までに届出書を出す」というルールがあります。

このルールのままだと、2028年分まで3割特例を使った人が2029年分から簡易課税にしたい場合、 2028年中に届出が要ることになります。

ここに救済措置が入りました。

2割特例・3割特例を使った事業者は、その翌年分の確定申告期限までに届出書を出せば、翌年分から簡易課税を使えます (出典: 前掲・令和8年度税制改正特集)。

つまり「申告書を作りながら、簡易課税とどちらが安いか見比べて、それから届出」ができます。 年内に慌てて簡易課税選択届出書を出す必要はありません。

私の場合はどうするか

正直に書くと、私はインボイス未登録の免税事業者なので、 2割特例も3割特例もまだ関係がありません。

ただ、取引先の顔ぶれ次第でいつか登録する日が来たときは、 「登録初年度から2年は3割特例、その先は業種の区分で簡易課税と比較」という順で考えるつもりです。

未登録の人に関わる10月からの変化は経過措置の記事に分けて書きました。

よくある質問

2割特例が使える最後の申告はいつですか?

個人事業主は2026年分、つまり2027年3月に行う確定申告が最後です。

2割特例は課税期間の途中で切れず「令和8年9月30日の属する課税期間まで」丸ごと使えるので、 2026年10月〜12月の売上分も2割のままで計算できます。

3割特例に条件はありますか?

2割特例と同じ構造で、免税事業者がインボイス登録によって課税事業者になっている場合が対象です。

基準期間の課税売上高が1,000万円を超えて(登録と関係なく)課税事業者になる年には使えません。 売上が伸びてきた人は、その年の基準期間の数字を確認してください。

何もしなかったらどうなりますか?

届出を何も出していなければ、3割特例の対象者は申告時に3割特例を付記して選べばよく、実害はありません。

3割特例が終わる2029年分だけは、簡易課税にしたいなら救済措置の期限(2029年分の申告期限)までに届出が要ります。 そこが最初の「手を動かす締め切り」です。

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