原文解説 ── タックスアンサー No.2505
給与を払うなら2枚セット:給与支払事務所の届出と納期の特例
── 毎月10日の納付を、年2回にできる紙が1枚ある。
- 「人を雇ったら何を出せばいいの?」
- 「源泉徴収って毎月納付するの?」
- 「妻に専従者給与を払うだけでも必要?」
給与を払い始めた瞬間から、あなたは源泉徴収義務者です。 出す紙は実質2枚。1枚は義務、もう1枚は出さないと損をする任意の紙です。
先に結論
義務: 給与支払事務所等の開設届出書(開設から1か月以内)。 任意: 納期の特例で毎月納付を年2回(7/10・1/20)にまとめる。
第1条 義務の1枚目: 給与支払事務所等の開設届出書
給与の支払いを始めたら、開設から1か月以内に税務署へ。 開業と同時に給与を払い始める場合は、開業届の「給与等の支払の状況」欄に書くことで 兼ねられることがあります(提出前に税務署で確認するのが確実です)。
対象は従業員に限りません。青色事業専従者給与だけでも 源泉徴収は発生します。
第2条 任意だが実質必須の2枚目: 納期の特例
源泉徴収した所得税は、原則として翌月10日までに毎月納付です。 ひとりで事業を回しながら毎月これをやるのは、事務としてかなり重い作業です。
給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者
この条件を満たせば「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を出すことで、 納付が年2回にまとまります。
| 対象期間 | 納付期限 |
|---|---|
| 1月〜6月に源泉徴収した分 | 7月10日 |
| 7月〜12月に源泉徴収した分 | 翌年1月20日 |
第3条 時系列にすると
- 雇う(または専従者給与を払う)と決める
- 納期の特例の申請書を出す(前月までに)
- 給与支払い開始 → 開設届出書を1か月以内に(開業届で兼ねられる場合は不要)
- 源泉徴収して、7/10・1/20 にまとめて納付
第4条 源泉徴収額はどうやって決まるのか
毎月の天引き額は、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」で機械的に決まります。
- 従業員(専従者含む)に「給与所得者の扶養控除等申告書」を書いてもらう
- 提出があれば税額表の甲欄、なければ乙欄(高い方)で徴収
- 月88,000円未満(甲欄)なら源泉徴収額は0円。専従者給与を月8万円台に設定する例が多いのはこのためです
源泉徴収額0円でも、給与支払事務所の届出や年末調整の義務がなくなるわけではない点には注意が必要です。
第5条 納付と年末調整まで
- 納付は e-Tax またはダイレクト納付・納付書(税務署でもらう)で。特例なら年2回
- 12月には年末調整があります。従業員・専従者の年間の所得税を精算する手続きで、 給与を払う側の義務です。ここは会計ソフト・給与ソフトに任せるのが現実的
- 1月末には市区町村へ給与支払報告書の提出もあります(住民税のため)
「雇う」は届出2枚では終わらず年間サイクルが付いてくる、というのが全体像です。
よくある質問
外注(業務委託)にも源泉徴収は要りますか?
給与ではないので給与の源泉徴収はありません。ただし原稿料・デザイン料など 報酬の種類によっては別の源泉徴収が必要です。契約形態と報酬の種類で判定が変わる領域です。
納期の特例をやめたくなったら?
取りやめの届出があります。従業員が10人以上になった場合も対象から外れます。

